スポーツの秋は終わりましたが、今は日本で最も競技人口の多い「全日本クリスマス選手権」の真っただ中ですね。
この競技は、「期日までに恋人を作る」ことを目的としたスポーツです。
クリスマスはもともと西洋で始まった文化で、キリストの誕生を祝い、家族と静かに暮らすのが通例ですが、日本に輸入された時に競技化されました。
ルールは簡単ですが、勝利を得るためには多くの時間と資金と恋愛テクを投入する必要があります。
その上、勝っても賞金はありません。
勝者には一瞬の優越感と快楽が与えられます。
他のスポーツのようにファンやスポンサーがつかず、応援する人がいるどころかむしろ周りや家族を心配させることが多いので、自己満足な競技です。
クリスマスはいわゆる一次リーグで、ここでうまいこと恋人を見つけた、いわゆる「勝ち組」は、二次リーグ、すなわち正月に行われる「正月杯」に進む権利が与えられます。
今の時期は、ちょうど一次リーグ敗退が決定的な人たちが出始めるころで、僕の仕事場にもヤケになった人からよくわからない言いがかりの電話がかかってきます。
一次リーグを突破しても油断は禁物で、二次リーグの正月杯や、三次リーグ、すなわち「バレンタインカップ」までにボロが出るため、一度別れて新しいパートナーを探す、といった手法が最近は多く見られます。
これはF1でいうタイヤチェンジと同じです。
三次リーグが終わっても、四次「イースター オープン」五次「お花見マスターズ」と、リーグ戦は永遠に続き、終わりはありません。
途中で引退する方もいますが、中には数十年、相手をとっかえひっかえしながら参加し続ける方もいます。
そして誰が勝つにしろ負けるにしろ、主催者である企業側には利益が残る仕組みになっています。
パチンコや宝くじと同じ仕組みを、クリスマスやイースターにも組み込んだのが、日本のイベントの大きな特徴です。