66年前の8月15日、日本は敗戦した。
この戦争で、300万もの命が失われ、多くの街が失われ、莫大な財産が失われ、あらゆるものが失われた。そして、日本人は信仰をも失った。
日本人はもともと信仰心の強い民族だった。
太平洋戦争も、神様が共にして絶対勝てると信じていた、とおじいさん世代の人が言っているのを聞いたことがある。
鬼畜米英から日本を、アジアを守るため、「天に代わりて悪を討つ」とみんなで歌いながら戦っていた。
武器は旧式で、戦争末期には竹槍さえ使ったけど、強い精神力があれば兵力の差は関係ないはずだったし、なにより困ったときは神風が吹いて助かるはずだった。
なのにひどい負け方をした。
信じていたのは、陸軍が人心を操るためにでっちあげた宗教だったとわかった。
以来、日本人は信じることをやめた。
この傷は深く、66年たった今も世代を超えて受け継がれてしまっている。
「宗教とは狂気」、「宗教とは狂った教祖と洗脳された群集の団体」といった認識を持つ日本人。
この認識のルーツは、他でもない、戦時中の私たち日本人の姿である。
戦争によって負っていまだに癒えていないのは、放射能によって負った体の傷、今も残る借金の傷、そして心の傷、思想の傷である。