「短くて内容の濃い文章の書き方について、ちょっと調子にのって書いてみます。
まず思っていることをすべて書き出し、それから何度も読み返し、削る、です。
重要なのは、何度も読み返すことです。
これは冷静な視点で自分の文章を眺めるためです。
なぜ冷静な視点が必要かといえば、読者が冷静な目で読んでいるからです。
作者にとって切実な文章も、読者にとっては忙しい中で時間を割いて読む文章です。
この温度差を埋めるために、何度も読みます。
読んでいると無駄な部分が見えてくるので、どんどん削ります。
頑張れば3分の1くらいにまで圧縮できます。
御言葉的には7文字にできればベストですが、僕にはできません。」
この文章も、校正をして短くしています。
もともとは以下のような文章を作っていました。
「文章を書くコツを一つ教えます。まずはとりあえず思っていることを全部書き出します。思いのたけを、どこまでも書き綴ります。この文章を、そのまま誰かに読ませると相手を不快な気分にさせます。もし、そういった文章を手紙にして先生に出せば、御言葉のように先生が困ってしまいます。そこで、校正が必要です。校正の方法は、まず文章を何度も読むことです。10回20回何度も読みます。読み方のポイントとしては、相手がこの文章を読んだらどう思うかなということを考えながら読みます。相手の立場や状況を考えることもそうですし、文章はイントネーションや表情が伝えられない表現方法なので、誤解されないかを十分気をつけることもそうです。専門的なことを書くときは、相手がその専門分野をどのくらい知っているかでも書く内容は変えなければいけません。不特定多数の人が読むブログやメーリスなら、Aさんがこの文章を読んだらどう思うかなという視点で数回読み、Bさんがこの文章を読んだらどう思うかなという視点で数回読み、Cさんが・・・と立場が違う人を一人一人想像しながら読みます。さて、はじめに思いのたけを書き綴った時には自分の世界に入ってすごい興奮して書いてしまうのですが、残念ながら、読者はほぼ間違いなく、あなたと同じような興奮状態ではあなたの文章を読みません。これは何年もブログを書きながらわかったことです。明らかに作者と読者には温度差があります。考えてみれば、読者にも生活があって、みんなその忙しい生活の中で時間を割いて自分の文章を読んでくれているのです。ですから、読者との温度差をうまないために、何度も読むわけです。何度も読んでいると、つまらない文章に思えてくる部分が出てきます。「こんなことなんで書たんだろ」と、自分で自分の文章で恥ずかしくなる部分が出てきます。これは自分が冷静になっている証拠です。つまり読者と同じ視点になれた証拠です。ですので、冷静な自分が読んで恥ずかしくなった部分は相手もそう思うと思って、どんどん削っていきます。僕はいつも最初の文章から3分の2くらい削っています。すると、すっきり読みやすい文章が出来上がります。削った分がもったいないのですが、僕の感覚では、削った分も言外の言葉として相手に伝わっていると思います。もちろん説明不足だと誤解を生みますが、読者は「ああ、この人こういうことを言いたいんだな」とわかってくれることは多いです。善意があれば善意は伝わりますし、悪意があればそれも伝わります。善意を込めて書いた文章であれば、いくら削っても、結果、短い言葉で奥行きのある文章ができます。」