幼かったころ、こんな体験をしました。
ある日、何かをお願いしに母親のところに行きました。
母はいつも僕の味方になってくれる人で、そのときも快く「いいよ」と言ってくれました。
僕は気分を良くし、父親の許可もとろうと父に話しました。
ところが父はまったく聞く耳を持たず、許可してくれませんでした。
あせった僕は、母の援護を得ようと、母に父のことをちくりました。
すると母は急に険しい表情になり、僕を叱り、
挙句の果てに許可を取り下げてしまいました。
このときのショックや、いまだに覚えているほどです。
意見をコロコロ変える母に腹が立ったし、
何より母の意見を変えた父に対して、
言いようのない怒りと無力感を味わいました。
これは、学術的にはエディプスコンプレックスといいます。
子供が同姓の親に持つコンプレックスのことです。
母の意見が変わったのは、父を愛していたからでした。
子供心には母が変わったように見えましたが、母自身は何も変わっておらず、
いつもどおり父に合わせただけでした。
今となっては、本当によい夫婦だと思うばかりです。
御言葉が変わったように思うのも、これと同じくこうだと思います。